第52章 かつての友人

「橘結衣、起きて。橘結衣……」

橘結衣はまだ眠っていた。ぼんやりとした意識の底で、南川萌々香の声だけが揺れて聞こえる。

周りでは、ほかの女子たちがひそひそと囁いていた。

「ほんとに? この子が転入生?」

「わぁ……きれい。絵に描きたくなる……」

赤崎柚奈は眠っている橘結衣を覗き込み、目をきらきらさせる。

数人が驚きと興奮を隠せないまま、熟睡する少女を囲んだ。口元から垂れた涎で枕は少し濡れているのに、不思議と不格好にならない。むしろ、木にしがみつくナマケモノみたいに愛嬌がある。

(ほっぺ、つまみたい……こんな美人、見たことない~)

田中未菜がそう思った次の瞬間には、もう手が伸び...

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